花咲き
はなさき
名詞
標準
文例 · 用例
かの所謂文章語と稱するものは、日常口語の音便的に轉化したものを、さらに藝術的に薫練した言語であると言はれてゐるが、その文章語では、上例の「花は咲き鳥は鳴く」を、「花咲き鳥鳴く」といふ風に書く。
— 萩原朔太郎 『ローマ字論者への質疑』 青空文庫
妹が垣根|三味線草の花咲きぬ 万葉集の恋歌にあるような、可憐で素朴な俳句である。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
この事は、彼の孤独な伝記に照して見ても肯けるし、前に評釈した「白梅や誰が昔より垣の外」や「妹が垣根|三味線草の花咲きぬ」やを見ても、一層|明瞭に理解され得るところであろう。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
しかしおそらく彼の場合は、恋愛においてもその詩と同じく、愛人の姿に母の追懐をイメージして、支那の古い音楽が聞えて来る、「琴心挑美人」の郷愁から妹が垣根|三味線草の花咲きぬ の淡く悲しい恋をリリカルしたにちがいない。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
川の底から這いあがり、目さえおぼろ、必死に門へかじりつき、また、よじ登り、すこし花咲きかけたる人のいのちを、よせ、よせ、芝居は、と鼻で笑って、足ひっつかんで、むざん、どぶどろの底、ひきずり落すのが、これが、リアルか。
— 太宰治 『HUMAN LOST』 青空文庫
春は花咲き、秋は紅葉する自然の現象と全く似ていた。
— 燭をともして昼を継がむ。 『花燭』 青空文庫
〔毘沙門の堂は古びて〕毘沙門の堂は古びて、 梨白く花咲きちれば、胸疾みてつかさをやめし、 堂守の眼やさしき。
— 宮沢賢治 『文語詩稿 五十篇』 青空文庫
げに偽りという鳥の巣くうべき枝ほど怪しきはあらず、美わしき花咲きてその実は塊なり。
— 国木田独歩 『おとずれ』 青空文庫