穏和
おんわ
名詞
標準
文例 · 用例
公子 (穏和に頷く)姉上も、以前お分りにならぬと言われた。
— 泉鏡花 『海神別荘』 青空文庫
秋谷悪左衛門取次を致す、」 と高らかに云って、穏和に、「お逢い下さりょうか、いかが、」 と云った。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
いい意味での善良な国民、穏和な意味でのプロレタリアは、実際めいめいのまじめな仕事に真剣に従事している限り、拙速主義の疑わしい知識に飛びついて朝夕心を騒がせ気をいら立てる必要は毛頭ないのである。
— 寺田寅彦 『一つの思考実験』 青空文庫
」 もってのほか、穏和な声した親仁は、笹葉にかくれて、崖へ半ば踞んだが、黒の石持の羽織に、びらしゃら袴で、つり革の頑丈に太い、提革鞄を斜にかけて、柄のない錆小刀で、松の根を掻廻わしていた。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
ちょうど葉子も来ている時で、その贈物が二人を祝福するようにも取れたが、少し感潜って考えると、すでに庸三から離れてしまっている、このごろの葉子の気持を汲んでか、事によると今一歩進んで、師匠の斡旋によって、庸三の怒りを買うことなしに、穏和な解決を得ようとする手段の一つのようにも取れないこともなかった。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
穏和な、我がへンリ・シメレも今日、「浜(アピア)の白人は厭だ。
— 中島敦 『光と風と夢』 青空文庫
サモア人は概して慇懃で、(常に上品とはいえないにしても)穏和で、(盗癖を別として)彼等自身の名誉観を有っており、そして、少くともダイナマイト長官ぐらいには開化している。
— 中島敦 『光と風と夢』 青空文庫
穏和な情緒を滅茶苦茶に掻き立てられた彼女は、何もかも掻き※りたい興奮状態にあった。
— 佐左木俊郎 『熊の出る開墾地』 青空文庫