窓板
まどいた
名詞
標準
文例 · 用例
しかし蛇の半身がぶらりと下がって、切口から黒ずんだ血がぽたぽた窓板の上に垂れているので、主人も女中も内に這入って吊るしてある麻糸をはずす勇気がなかった。
— 森鴎外 『雁』 青空文庫
間もなく窓に現れた小僧は万年青の鉢の置いてある窓板の上に登って、一しょう懸命背伸びをして籠を吊るしてある麻糸を釘からはずした。
— 森鴎外 『雁』 青空文庫
そして女中が受け取ってくれぬので、小僧は籠を持ったまま窓板から降りて、戸口に廻って外へ出た。
— 森鴎外 『雁』 青空文庫
北向きの、その小さな窓が一つと、ピラミツド型に歪んだ天井裏に二尺四方のあかりとりが開いたが、そんな小さな窓から空を仰ぐと、わけても憐れに満ちた放浪の煙りがもやもやとして、細々と空へ立ち昇つてゆく思ひが切なく、私は細引を曳いて窓板を閉ぢると戸立蜘蛛の有様で穴の底に瞑目するだけだつた。
— 牧野信一 『剥製』 青空文庫
奇妙な透明な窓板――ほとんどが楕円形――のついた窓枠は、大した数ではなかったものの所々に残っていた。
— H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft 『狂気の山脈にて』 青空文庫
それら諸彦の助力を跋文中に銘記するに先だって、特に今記すべき一事は、畏友大野晋氏が、語法と基本語詞につき、更にその同窓板坂元・同美智子両氏の協力をも得て、応急適切な援助を寄せられたことである。
— 新村出 『『広辞苑』自序』 青空文庫
わたしの側には手頃な小刀がありますからね、じたばたすると掌を窓板へ、鰻の首を刺めるように、プツンと縫ってしまいますよ……」 小刀で掌を刺し止められては堪らない。
— 江戸の巻 『鳴門秘帖』 青空文庫
後にしるす「窓板法」なども、原理としては、やはり、これと同じものだ。
— 江戸川乱歩 『探偵小説の「謎」』 青空文庫