駆上
かけるうえ
名詞
標準
文例 · 用例
がちがち震えながら、傍目も触らず、坊主が立ったと思う処は爪立足をして、それから、お前、前の峰を引掻くように駆上って、……ましぐらにまた摺落ちて、見霽しへ出ると、どうだ。
— 泉鏡花 『朱日記』 青空文庫
一冊は、夢中で我が家の、階子段を、父に見せまいと、駆上る時に、――帰ったかと、声がかかって、ハッと思う、……懐中に、どうしたか失せて見えなくなった。
— 泉鏡花 『絵本の春』 青空文庫
ト突出た廂に額を打たれ、忍返の釘に眼を刺され、赫と血とともに総身が熱く、たちまち、罪ある蛇になって、攀上る石段は、お七が火の見を駆上った思いがして、頭に映す太陽は、血の色して段に流れた。
— 泉鏡花 『売色鴨南蛮』 青空文庫
と、あ、と声を内へ引いて遁込んで、けたたましい足音で、階子壇を駆上がると、あれえあれえと二階を飛廻って欄干へ出た。
— 泉鏡花 『半島一奇抄』 青空文庫
屋根のその辺だ、と思う、西瓜のあとには、烏が居て、コトコトと嘴を鳴らし、短夜の明けた広縁には、ぞろぞろ夥しい、褐色の黒いのと、松虫鈴虫のようなのが、うようよして、ざっと障子へ駆上って消えましたが、西瓜の核が化ったんですって。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
』 で、ばた/\と廊下を、直ぐに二階へ駆上つた。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
雪枝は一文字に其の前を突切つて、階子段を駆上り状に、女中と摺違つて、『そんな筈は無い。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
と黒雲を被いだ如く、牛の尾が上口を漏れたのを仰いで、上の段、上の段と、両手を先へ掛けながら、慌しく駆上つた。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫