竇
竇
名詞
標準
文例 · 用例
大旱に際して聖王湯が自ら責めた事實は史上に著明であり、竇娥が冤に死して暑月に霜を飛ばした事は戲曲の好題となつて居る。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
大旱に際して聖王湯(中国、殷王朝初代の王)が自分を責めた事実は史上に著明であり、竇娥が冤罪で死んで暑月に霜を飛ばした事は戯曲(中国の元曲、竇娥冤)の好題となっている。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
呉の将、朱桓という将軍がひとりの下婢を置いたが、その女は夜中に睡ると首がぬけ出して、あるいは狗竇から、あるいは窓から出てゆく。
— 捜神記(六朝) 『中国怪奇小説集』 青空文庫
漁師の子は遁れて靴工の宅に入り仔細を明かし、踵を前に指を後にした靴一足を拵えもらい、穿って村を出るに高い牆で取り廻らして踰ゆる事ならぬから、やむをえず水|竇中から出た。
— 犬に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
彼女が私の病院に来てから間もなく私がある中年紳士の上顎竇蓄膿症の手術をした時に、初めて助手を命ぜられた彼女は、忙しく動いている私の指の間から、麻酔患者の切り開かれた上唇の間に脱脂綿をスイスイと差し込んで、溢れ流れる血液を拭き上げて、切開部をいつも私の眼によく見えるようにして行った。
— 夢野久作 『少女地獄』 青空文庫
今代芸術の一大|弊竇は、いわゆる文明の潮流が、いたずらに芸術の士を駆って、拘々として随処に齷齪たらしむるにある。
— 夏目漱石 『草枕』 青空文庫
大事件のみを述べて、小事件を逸するのは古来から歴史家の常に陥る弊竇である。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
かの陋習に縛せられて、いやいやながら結婚を執行するのは人間自然の傾向に反した蛮風であって、個性の発達せざる蒙昧の時代はいざ知らず、文明の今日なおこの弊竇に陥って恬として顧みないのははなはだしき謬見である。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫