笑わす
わらわす
動詞
標準
文例 · 用例
「いや、お言葉はありがたく頂戴しまっけど、どうも、人を笑わすいう気になれまへんので……」 赤井がそう断ると、傍で聴いていた白崎はいきなり、「君、やり給え!
— 織田作之助 『昨日・今日・明日』 青空文庫
「顔クチャクチャにして、ゴーンと床に頭付けて笑わすんやから、王道やない」という。
— 富田倫生 『青空のリスタート』 青空文庫
しかも話の合う仲間の処に行って、三文にもならないような道徳面をして、女を見てもこれが女かといったような無頓着さを装っている柿江の野郎が、一も二もなく俺の策略にかかって、すっかり面皮を剥がれてしまったと、仲間をどっと笑わすことだろう。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
何方でも、通俗驢を愚鈍の標識のようにいえど、いわゆるその愚は及ぶべからずで、わざと痴けた風をして見せ、人を笑わすような滑稽智に富む由、ウッドは言った。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
)北村君は思い詰めているような人ではあったが、一方には又磊落な、飄逸な処があって、皮肉も云えば、冗談も云って、友達を笑わすような、面白い処もあった。
— 島崎藤村 『北村透谷の短き一生』 青空文庫
」 客に馴れている彼等は、いつかもうその人に抱かれながらその墨染の法衣の紐を引っ張り、斯うした質問を出して若い禅宗の坊さんを笑わすほどになっていた。
— 若山牧水 『青年僧と叡山の老爺』 青空文庫
友達のこととか親戚のこと、隣家の女中の噂などと、人を笑わすことの巧みな幸子の話を聞きつつも、矢代は、この妹のいる前ではやはり今夜も駄目だとあきらめようとするのだった。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
何事につけても柔かくシンナリとあつかって呉れる母親と同じ様に、この美は我々の心を笑わす事も涙をこぼさせる事も出来る力を持って居ると云う事を私は信じ私に対してはまったくそうなのである。
— 宮本百合子 『繊細な美の観賞と云う事について』 青空文庫