惑情
惑情
名詞
標準
文例 · 用例
其文言を見ると、仏教・道教に厳重な区劃は考へてゐなかつた様であるが、万葉巻五の憶良の「令反惑情歌」は、其禁令の直訳なのに拘らず、道教側の弊ばかり述べてゐる。
— 唱導的方面を中心として 『国文学の発生(第四稿)』 青空文庫
万葉集巻五にある憶良の「令反惑情歌」(神亀五年作か)の如きも、聖武天皇の詔詞を飜訳したものなることは明らかだ。
— ――その基礎論―― 『日本文学の発生』 青空文庫
今、その要点を一口につまんで申せば、余おもえらく、世人が迷心、惑情を去り難きは、全く天運といえる一大怪物が目前にかかりて、なにほど己の心をたずねてみても、サッパリ分からぬ故であります。
— 井上円了 『おばけの正体』 青空文庫
○ひさかたの天道は遠しなほなほに家に帰りて業を為まさに 〔巻五・八〇一〕 山上憶良 山上憶良は、或る男が、両親妻子を軽んずるのをみて、その不心得を諭して、「惑情を反さしむる歌」というのを作った、その反歌がこの歌である。
— 斎藤茂吉 『万葉秀歌』 青空文庫
「女」というものについても武蔵は、その魅力を、吉野に見ているし、自分という実体の中からも多分に「女」に持つ人間のあらゆる惑情を知りかけている――で今の武蔵は、その対象を恐れるよりも、自分の心を恐れるのだった。
— 風の巻 『宮本武蔵』 青空文庫