霊船
れいせん
名詞
標準
文例 · 用例
暗礁へ誘い寄せる、連を呼ぶ幽霊船だ。
— 泉鏡花 『海異記』 青空文庫
幽霊船の歩に取られたような顔つきで、漕出したげでござりますが、酒の匂に我慢が出来ず…… 御繁昌の旦那から、一杯おみきを遣わされ、と咽喉をごくごくさして、口を開けるで、さあ、飲まっせえ、と注ぎにかかる、と幾干か差引くか、と念を推したげで、のう、ここらは確でござりました。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
床柱と思う正面には、広い額の真中へ、五寸釘が突刺さって、手足も顔も真蒼に黄色い眼を赫と※く、この俤は、話にある幽霊船の船長にそっくり。
— 泉鏡花 『星女郎』 青空文庫
アイヌ達の犬も、ふだんは猟に出て熊と格闘をするほど勇気がありましたが、この幽霊船が現はれると、尻尾をまいて、ちゞみあがつて、家の中に逃げ込んでしまふのでした。
— 童話集 『小熊秀雄全集-14』 青空文庫
幕が上がって幽霊船長が、七年ぶりでザントヴィーケの港に上陸するとき、はじめその中低音が、この歌を唱うんだ。
— 小栗虫太郎 『潜航艇「鷹の城」』 青空文庫
そして、七年目に一度上陸を許されるのだが、ザントヴィーケの港で少女ゼンタの愛によって救われ、幽霊船は海底に沈んでしまう。
— 小栗虫太郎 『潜航艇「鷹の城」』 青空文庫
なぜなら、幽霊船長ヴァン・シュトラーテンの上陸――その怪異伝説が、法水の夢想にピタリと一致したばかりでなく、わけても検事には、それによって、一つ名が指摘されたように考えられたからである。
— 小栗虫太郎 『潜航艇「鷹の城」』 青空文庫
例の神を涜した為、未来|永劫にわたり幽霊船の船長として憩いの許されぬ“さまよえる和蘭人”でさえ、女性の無償の愛が得られれば許されるという中世紀伝説があるのだ。
— 田中英光 『さようなら』 青空文庫