軟文学
なんぶんがく
名詞
標準
love story
文例 · 用例
それまで実は小説その他のいわゆる軟文学をただの一時の遊戯に過ぎないとばかり思っていたのだが、朧ろ気ながらも人生と交渉する厳粛な森厳な意味を文学に認めるようになったのはこの初対面に由て得た二葉亭の賜物であって、誰に会った時よりも二葉亭との初対面が最も深い印象を残した。
— 内田魯庵 『二葉亭余談』 青空文庫
なおまたこのほかに問題にせねばならぬのは、徳川幕府が江戸に於ける軟文学の流行をそれとなく奨励したことである。
— 夢野久作 『街頭から見た新東京の裏面』 青空文庫
一般に探偵小説の愛読者は、他の軟文学の読者よりも遥かに広い範囲にわたっており、しかもその中にはより多くの教養ある階級の人々を包含している。
— 平林初之輔 『探偵小説の世界的流行』 青空文庫
徳川時代というものの中で眺める馬琴というような作家は、同時代の庶民的情調に立つ軟文学の気風に対して、教養派のくみであったろうが、馬琴の芸術家としての教養の実体はモラルとしての儒教に支那伝奇小説の翻案的架空性を加えたものが本道をなしていたと思える。
— 宮本百合子 『作家と教養の諸相』 青空文庫
明治初期には「実利実学」の気風と、徳川時代から小説を軟文学としてかろしめてきた伝統とがからみあっていて、岸田俊子なども台所や茶の間に手帖をおいても書いてゆけるものという理由で、文学の仕事は女にふさわしいといった。
— 宮本百合子 『婦人作家』 青空文庫
開化期の文学は混沌としていて、仮名垣魯文のように江戸軟文学の脈を引いて、揶揄的に文明開化の世相風俗を描いた作者がある。
— 宮本百合子 『婦人と文学』 青空文庫
小説というものについての前時代的な解釈、軟文学としての理解で、女にも出来ることという過小評価が吐露されていたことがかえりみられるのである。
— 宮本百合子 『婦人と文学』 青空文庫
第一のものには特にいはゆる軟文学が、第二のものにはいはゆる大衆文学が、第三のものには主としていはゆる心理小説が相応するともいはれよう。
— 三木清 『日記と自叙伝』 青空文庫
作例 · 標準
最近、書店では感動作や恋愛模様を描いた軟文学のコーナーが充実している。
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彼女は、日常のささやかな感動を綴る軟文学のスタイルを好む。
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この作家の作品は、読後感の良い軟文学として人気を集めている。
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