麻服
あさふく
名詞
標準
文例 · 用例
けれどももちろん平太には一張羅の着てゐる麻服があるばかり他に入れるやうなものは何もありませんでしたから親方に頼んで板の上に引いた要らない絵図を三十枚ばかり貰ってぎっしりそれに詰めました。
— 宮沢賢治 『革トランク』 青空文庫
白の麻服のせなかも汗でぐちゃぐちゃ、草にはけむりのやうな穂が出てゐました。
— 宮沢賢治 『革トランク』 青空文庫
その人は白いだぶだぶの麻服を着て黒いてかてかしたはんけちをネクタイの代わりに首に巻いて、手には白い扇をもって軽くじぶんの顔を扇ぎながら少し笑ってみんなを見おろしていたのです。
— 宮沢賢治 『風の又三郎』 青空文庫
麻服の上着なしで、五分刈り頭にひげのない丸顔にはおよそ屈託や気取りの影といったものがない。
— 寺田寅彦 『破片』 青空文庫
その側で長谷川は、色あせた麻服の自分を、供の男めいて顧みられ、上衣をぬいでやけにシャツの襟をひろげた。
— 豊島与志雄 『女心の強ければ』 青空文庫
指定された丸の内の何とかいふ倶楽部の一室で待つてゐると、廊下の方で、二三人の連れ――その中にはどうやら外国人もまじつてゐるらしい――と別れの言葉をかはしてゐる聞き覚えのあるきびきびした声がきこえて、やがて白い麻服姿の小幡氏が、相変らずの颯爽たる足どりではいつて来た。
— 神西清 『灰色の眼の女』 青空文庫
脊の高い中婆さんで、縞のはいった空色の麻服にすっぽり身をくるみ、おなじく縞入りの麻のプラトークを頭にかぶって、親切そうな顔をしています。
— TUPEJNYJ HUDOZHNIK 『かもじの美術家』 青空文庫