高帽
こうぼう
名詞
標準
文例 · 用例
山高帽を少し阿弥陀に冠った中年の肥大った男などが大きな葉巻をくわえて車掌台に凭れている姿は、その頃のベルリン風俗画の一景であった。
— 寺田寅彦 『喫煙四十年』 青空文庫
故芥川龍之介君が内田|百間君の山高帽をこわがったという有名な話が伝えられている。
— 寺田寅彦 『ピタゴラスと豆』 青空文庫
これは「内田君の山高帽」をこわがったのか「山高帽の内田君」をこわがったのか、そこのところがはっきりと自分にはわからないが、しかしこの話の神秘的なところが何となくピタゴラスの豆を自分に思い出させるのである。
— 寺田寅彦 『ピタゴラスと豆』 青空文庫
モンマルトルは相も変わらず放縦な展覧会が開催されて、黒い山高帽の群とメランコリックな造花の女が、右往左往していました。
— 吉行エイスケ 『バルザックの寝巻姿』 青空文庫
十三 どこも変らず、風呂敷包を首に引掛けた草鞋穿の親仁だの、日和下駄で尻端折り、高帽という壮佼などが、四五人境内をぶらぶらして、何を見るやら、どれも仰向いてばかり通る。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
赤帽の言葉を善意に解するにつけても、いやしくも中|山高帽を冠って、外套も服も身に添った、洋行がえりの大学教授が、端近へ押出して、その際じたばたすべきではあるまい。
— 泉鏡花 『売色鴨南蛮』 青空文庫
そのかわり、この方は山高帽子で――おやおや忘れた――鉄無地の旦那に被せる帽子を。
— 泉鏡花 『木の子説法』 青空文庫
」 と耳の許へ、山高帽を仰向けに脱いで、礼をしたのに続いて、四五人一斉に立った。
— 泉鏡花 『革鞄の怪』 青空文庫