筆路
ひつろ
名詞
標準
文例 · 用例
若し批評風にいふことを許して貰ふとすれば、却つて筆路をつゝしんで描いた唐画風の静物などには、少々気魄の小づんだ、固い仕事があると思ふ。
— 木村荘八 『岸田劉生の日本画』 青空文庫
筆路を慎重に運んだ唐画風のモティフの猫などにも、その良く行つた作には、明清の仕事ではとても及ばぬ、古格を湛へた善品が少くない。
— 木村荘八 『岸田劉生の日本画』 青空文庫
あるひは二曲屏風に桜の若樹を写したものであるとか、岩とか、鳥とか、殊に方寸尺の小点のものに多い覊旅の心尽しや道釈人物に、津々と筆路の深く美しいものがある。
— 木村荘八 『小杉放庵』 青空文庫
ところが更にわれわれの注意すべく、特に指摘すべき、こゝに、「画人小杉」の上の新しい出来事、これぞ「彼」が「放庵」へ変つた、最大の意義があるのは――筆路にリアリズムの再誕生したことである。
— 木村荘八 『小杉放庵』 青空文庫
老来小杉さんは枯淡になつた筆路に、この十年方前からは、打つて変つた緻密な「写実手法」を十分楽しみながら、年益々「日本画法」の堂に参じつゝ、今に及んでゐる。
— 木村荘八 『小杉放庵』 青空文庫
ここで少しく筆路が脱線するが、私にこうした、考えを懐かせた支那の文献について、一瞥を投じて見たいと思うのである。
— 中山太郎 『獅子舞雑考』 青空文庫
毎詩必ず豊麗はこれあり、ややもすれば詞致雑揉に過ぎ、多彩の筆路、時として流滑の調を失ふと言ふは、評家の定議なれども、この篇の如きは、「ゆく春」集中「石彫獅子の賦」と類を同うし、強て彫琢を用ゐずして才藻富贍の裡、自から素朴の香高きもの。
— 蒲原有明 『泣菫氏が近業一篇を読みて』 青空文庫