門辺
かどべ
名詞
標準
文例 · 用例
これが、この世の見おさめと、門辺に立てば月かげや、枯野は走り、松は佇む。
— 太宰治 『東京八景』 青空文庫
堯の窓からは、地盤の低い家々の庭や門辺に立っている木々の葉が、一日ごと剥がれてゆく様が見えた。
— 梶井基次郎 『冬の日』 青空文庫
鋭次は笑つて黙り、清吉は泣て詫びしが、其夜源太の帰りし跡、清吉鋭次にまた泣かせられて、狗になつても我や姉御夫婦の門辺は去らぬと唸りける。
— 幸田露伴 『五重塔』 青空文庫
鋭次は笑って黙り、清吉は泣いて詫びしが、その夜源太の帰りしあと、清吉鋭次にまた泣かせられて、狗になっても我ゃ姉御夫婦の門辺は去らぬと唸りける。
— 幸田露伴 『五重塔』 青空文庫
「その六部が何者であったかな」養父は稀に門辺へ来る六部などへ、厚く報謝をするおりなどに、その頃のことを想出して、お島に語聞せたが、お島はそんな事には格別の興味もなかった。
— 徳田秋声 『あらくれ』 青空文庫
と云うのは、thrice を避けて、前節の Ban と続けた Banthrice が、Banshee(ケルト伝説にある告死婆)が変死の門辺に立つとき化けると云う老人――すなわち Banshrice のように響くからなんですよ。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
もう此頃には、三の丸池尻門辺に、上白下黒白黒の釘貫の旗や、白い鳥毛二つ、団子の馬印が立てられて、有馬|豊氏、同忠郷の占拠を示し、三の丸田尻門辺には立花忠茂の上白下黒、黒の処に紋ある旗や、松倉重次の黒に中朱筋一つの旗が眺められた。
— 菊池寛 『島原の乱』 青空文庫
この蛇佐渡に最多しと聞く、河童に殺された屍は、口を開いて笑うごとく、水蛇の被害屍は歯を喰いしばり、向歯二枚欠け落ち、鼈に殺されたのは、脇腹章門辺に爪痕入れりと見え、『さへづり草』には、水辺一種の奇蛇あり、長七、八寸より二尺余に至る。
— 蛇に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫