鵞毛
がもう
名詞
標準
文例 · 用例
こういう薄片が沢山に集合したのがいわゆる鵞毛となって舞い下りて来るのである。
— 寺田寅彦 『雪の話』 青空文庫
軽きこと鵞毛のごとき時あり、見物は喝采しき。
— 泉鏡花 『照葉狂言』 青空文庫
)と、寂しそうに笑って、……雪道を――(ああ、ふったる雪かな、いかに世にある人の面白う候らん、それ雪は鵞毛に似て、)――と聞きながら、職人が、もうちっとと思うのに、その謡が、あれなの、あれ……」「ええ。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
八百流沙界 三千弱水深 鵞毛飄不起 蘆花定底沈――西遊記――一 そのころ流沙河の河底に栖んでおった妖怪の総数およそ一万三千、なかで、渠ばかり心弱きはなかった。
— 中島敦 『悟浄出世』 青空文庫
ことによく日の当る所に暖かそうに、品よく控えているものだから、身体は静粛端正の態度を有するにも関らず、天鵞毛を欺くほどの滑らかな満身の毛は春の光りを反射して風なきにむらむらと微動するごとくに思われる。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
風さへ吹き出したのか、それとも汽車が風を起したのか、声なき鵞毛の幾千万片、卍巴と乱れ狂つて冷たい窓硝子を打つ。
— 小樽より釧路まで 『雪中行』 青空文庫
周子の母に、遠回しな厭がらせを浴せられて、今迄自分が母に抱いてゐた反対の心境が拡けたなどと思つたのも、みんな苦し紛れの痴夢で、斯うあくどく残虐な手に攻められると、一瞬間前の余裕あり気な心持などは、鵞毛の如く吹き飛んでしまひ、腑抜けた自分が「ヲダハラの阿母さん。
— 牧野信一 『鏡地獄』 青空文庫
17鵞毛のやうにゆききする 風にさそはれて朝化粧する薔薇の花。
— 大手拓次 『藍色の蟇』 青空文庫