草鞋掛け
わらじがけ
名詞
標準
文例 · 用例
今のように乗り物もそう便利な時世ではなく、汽車で行かれないところはわらじがけで、毎日七里ぐらいの道を歩きました。
— 島崎藤村 『力餅』 青空文庫
それからは文福茶がまの評判は、方々にひろがって、近所の人はいうまでもなく、遠国からもわざわざわらじがけで見に来る人で毎日毎晩たいへんな大入りでしたから、わずかの間にくず屋は大金持ちになりました。
— 楠山正雄 『文福茶がま』 青空文庫
男はガッシリした体に、細かい茶縞木綿の筒袖袢纏をきて、股引わらじがけという身軽な姿で、先にたって遠慮なく急ぎながら、折々振り返っては話しかける。
— 伊藤野枝 『転機』 青空文庫
ゆえにもし地方人の歓迎を受けんとするものは、品質粗悪でも価さえ廉であるならば、のんきな田舎人はわらじがけで買いに来る。
— 相馬愛蔵 『私の小売商道』 青空文庫
雨のしょぼしょぼ降る午後の二時頃|菅笠をかぶり、糸楯を着て、わらじがけでとぼとぼと峠を上ると、鬱蒼として頭の上に茂った椎の木の梢で、男と女の声がする。
— 平山蘆江 『怪談』 青空文庫
わらじがけであってみれば吉原帰りでないことは知れている。
— 江戸の巻 『鳴門秘帖』 青空文庫
小形な法帖みたいに折り畳んであるので、サラリと押し開いてみると、竹屋卿がわらじがけで実地を写したものらしく、徳島城の要害から、撫養、土佐|泊、鳴門のあたりを雑に書きかけてある海図だった。
— 木曾の巻 『鳴門秘帖』 青空文庫
その役人と配下の者数名が、わらじがけの足をそろえて、池のふちを歩いてくると、こっちへ向って駆けてきた乞食が、ふいと、反対のほうへ戻りだした。
— 鳴門の巻 『鳴門秘帖』 青空文庫