雲路
くもじ
名詞
標準
文例 · 用例
實は一昨年の出雲路の旅には、仔細あつて大阪朝日新聞學藝部の春山氏が大屋臺で後見について居た。
— 泉鏡花 『城崎を憶ふ』 青空文庫
――なほ志す出雲路を、其日は松江まで行くつもりの汽車には、まだ時間がある。
— 泉鏡花 『城崎を憶ふ』 青空文庫
何方の雲路にわれも迷ひなん月の見るらんことも恥かし とも言った。
— 須磨 『源氏物語』 青空文庫
東亜の空にはびこる暗雲の乱れそめては、黄海波荒く、残艦哀れ旅順の水寒き影もさびしき故国の運命に、君は起ちにき、み神の名を呼びて――亡びの暗の叫びの見かへりや、我と我が威に輝やく落日の雲路しばしの勇みを負ふ如く。
— 石川啄木 『詩』 青空文庫
私の町は備後の北、出雲路に近く、冬は雪が積もり、春先きまで炬燵があった。
— 倉田百三 『光り合ういのち』 青空文庫
出雲路へ下る旅人が大江山の麓に宿を借りた。
— 芥川龍之介 『六の宮の姫君』 青空文庫
奥州名取郡笠島の道祖は、都の加茂河原の西、一条の北の辺に住ませられる、出雲路の道祖の御娘じゃ。
— 芥川龍之介 『俊寛』 青空文庫
尤後世になつては、地神のよりしろをも木や柱の尖に結び附けたことはあつたが、古代人の考へとしては、雲路を通ふ神には、必或部分まで太陽神の素質が含まれて居たのであるから、今日遺つて居る髯籠の形こそ、最大昔の形に近いものであるかと思ふ。
— 折口信夫 『髯籠の話』 青空文庫