悄乎
悄乎
名詞
標準
文例 · 用例
」 と奴は悄乎げて指を噛む。
— 泉鏡花 『海異記』 青空文庫
」第二十一「頃刻悄乎して居たつけ。
— 泉鏡太郎 『高野聖』 青空文庫
けれども、可厭な、可忌しい聲を聞かずには濟むまい、と思ふと案の定…… 來て、其の行逢つたものは、一ならびに並んだ三|人づれで、どれも悄乎とした按摩である。
— 泉鏡太郎 『三人の盲の話』 青空文庫
次の婦は、腰から其の影を地へ吸込まれさうに、悄乎と腰をなやして踞む……鬢のはづれへ、ひよろりと杖の尖が抽けて青い。
— 泉鏡太郎 『三人の盲の話』 青空文庫
黄昏に三人で、時雨の松の見霽へ出掛けるのを、縁の柱で、悄乎と、藤棚越に伸上って見ていると、二人に連れられて、私の行くのが、山ではなしに、干潟を沖へ出て、それ切帰らない心持がしてならなかった。
— 泉鏡花 『甲乙』 青空文庫
……あすこだったと思う、紅蓮が一茎、白蓮華の咲いた枯田のへりに、何の草か、幻の露の秋草の畦を前にして、崖の大巌に抱かれたように、巌窟に籠ったように、悄乎と一人、淡く彳んだ婦を見ました。
— 泉鏡花 『甲乙』 青空文庫
雪女は拵への黒塀に薄り立ち、産女鳥は石地蔵と並んで悄乎彳む。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
仲の町で、或引手茶屋の女房の、久しく煩つて居たのが、祭の景氣に漸と起きて、微に嬉しさうに、しかし悄乎と店先に彳んだ。
— 泉鏡太郎 『祭のこと』 青空文庫