鬱然
うつぜん
形容詞-たる副詞-と
標準
dense (vegetation)
文例 · 用例
そうしてそれが、やがて大隅君のあの鬱然たる風格の要因にさえなった様子であったが、思いやりの深い山田勇吉君は、或る時、見かねて、松葉を束にしてそれでもって禿げた部分をつついて刺戟すると毛髪が再生して来るそうです、と真顔で進言して、かえって大隅君にぎょろりと睨まれた事があった。
— 太宰治 『佳日』 青空文庫
鬱然として怒に耐へず、遠く沖に向て叫び、我が意志の烈しき渇きに苦しめり。
— 萩原朔太郎 『氷島』 青空文庫
洋燈も珍しいが、座敷もまだ塗立ての生壁で、木の香は高し、高縁の前は、すぐに樫、槻の大木大樹鬱然として、樹の根を繞つて、山清水が潺々と音を寂に流れる。
— 泉鏡太郎 『十和田湖』 青空文庫
けれども私は、与えられるものを黙って着ている主義であるから、内心少からず閉口していても、それを着て鬱然と部屋のまん中にあぐらをかいて煙草をふかしているのであるが、時たま友人が訪れて来てこの私の姿を目撃し、笑いを噛み殺そうとしても出来ない様子である。
— 太宰治 『服装に就いて』 青空文庫
此の坂の上から、遙に小石川の高臺の傳通院あたりから、金剛寺坂上、目白へ掛けてまだ餘り手の入らない樹木の鬱然とした底に江戸川の水氣を帶びて薄く粧つたのが眺められる。
— 泉鏡太郎 『番茶話』 青空文庫
されど、之等は要するに皆かれの末技にして、真に欽慕すべきは、かれの天稟の楽才と、刻苦精進して夙く鬱然一家をなし、世の名利をよそにその志す道に悠々自適せし生涯とに他ならぬ。
— 太宰治 『盲人独笑』 青空文庫
百合と山査子の匂いとだけ判って、あとは私の嗅覚に慣れない、何の花とも判らない強い薬性の匂いが入れ混って鬱然と刺戟する。
— 岡本かの子 『河明り』 青空文庫
私は、そんないい加減の言葉では、なぐさめられ切れず、鬱然として顔を仰向け、煙草ばかり吸っていた。
— 太宰治 『善蔵を思う』 青空文庫
作例 · 標準
例句
標準
prominent
作例 · 標準
例句
標準
gloomy (mood)
作例 · 標準
例句