真向こう
まむこう
名詞名詞-の形容詞
標準
right opposite
文例 · 用例
真向こうの大きな二階建の家には、焼夷弾が落ち、階下で燃えだしたと見え、家ぜんたいが、まるでしかけ花火のような真赤な炎に包まれていた。
— 海野十三 『空襲警報』 青空文庫
あたしの家の真向こうに――三立社の尻にこの辺にはあるまじいほどささやかな、小さな小屋で首を振りながら、終日塩せんべを焼いているお婆さんがあった。
— 町の構成 『旧聞日本橋』 青空文庫
三人がかわり合って、筏の両側にとりつけた櫂をこぎ、岩山の岸からあまり遠ざからないように用心しながら、ゆっくりこいで行ったのですが、おひる頃にはもう、湖水の真向こうの鋸山の下へ近づいていました。
— 江戸川乱歩 『新宝島』 青空文庫
「おい、なにがまだだい、姐さん、ばかにしちゃいかんよ、俺はお前さんのおしきせを飲んでるのじゃないよ、が、まあ、宜い、黙って酒を持って来た」 女は洋服の男の権幕に驚いたのかそのままむこうへ往った。
— 田中貢太郎 『港の妖婦』 青空文庫
忰は親しそうなその顔に何か云おうとしたが、云うのがきまりが悪いのでそのままむこうへ渡って往った。
— 田中貢太郎 『参宮がえり』 青空文庫
大丸のまむこうに、大丸出入りの菓子や「かめや」あり、旅籠町通りに大丸とならんで大丸の糸店と扇店があり、「みすや針店」のとなりが森田清翁という、これも出入りの菓子や。
— 長谷川時雨 『大丸呉服店』 青空文庫
「あのお守りだか、鏡だかの話、私こないだ泣いたりしたから、みなさんに変に思われているかもしれないけれど、全く知らないんですから――」 切り口上で云って、一層蒼い顔をしたままむこうへ行ってしまった。
— 宮本百合子 『三月の第四日曜』 青空文庫
彼のまむこうに薄い黄色の衣裳で坐っているアムラ・ヤコビイは、「庚申薔薇の美しいほうの姉妹」と名づけられた。
— LUISCHEN 『ルイスヒェン』 青空文庫