汎神
はんしん
名詞
標準
文例 · 用例
そうした彼の宇宙的博愛主義は、草木万有の中に霊性が有ると信じられてるところの、仏教的な汎神論にもとづいていた。
— 室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ 『小泉八雲の家庭生活』 青空文庫
短歌詩人は、せいぜい汎神論にまでしか行き得ない。
— 中原中也 『河上に呈する詩論』 青空文庫
エルフルトのドミニカン僧より始め、中世最大の神秘家と云われた汎神論神学者)の云う霊性の方に近いのかもしれませんわ。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
殊に知らず、カアライルがギヨオテの衣鉢を傳へて一種の汎神論をなし、業を尊み産を崇めたる、エマルソンが盛に獨逸哲學をそのふる里に流布せしめたる、皆我が敬するところなるを。
— 森鴎外 『柵草紙の山房論文』 青空文庫
此人生觀は此派の汎神教と關聯してゐる。
— 森鴎外 『古い手帳から』 青空文庫
グンドルフは彼をスピノザと共に、自然汎神論者と称し、ヘルダーが歴史汎神論者であつたのに対立せしめてゐる。
— 三木清 『ゲーテに於ける自然と歴史』 青空文庫
然しながら、もしまたゲーテが汎神論者であつたとすれば、汎神論はまさに汎神論として、その基礎の上では自然と歴史とは鋭い対立をなし得ず、却て両者は連続的融合的に考へられるのほかないから、たとひ彼がいはゆる自然汎神論者であつたとしても、彼はなほ或る仕方で歴史に対するつながりを有することができたであらう。
— 三木清 『ゲーテに於ける自然と歴史』 青空文庫
丁度、反対に歴史汎神論者といはれるヘルダーが、歴史において特に自然的要素を重要視し、現代の人文地理学の発達を促すこととなつたやうに、自然汎神論者といはれるゲーテが今日、自然科学に対してよりも却て歴史学に対して特殊な、顕著な影響を及ぼしつつあるといふことは、興味がなくはない。
— 三木清 『ゲーテに於ける自然と歴史』 青空文庫