沈衰
ちんすい
名詞
標準
文例 · 用例
国際連盟の持つイデオロギイからも、満州の階級性からも、シャンハイをまったく取巻いた赤色プロレタリアの××からも、第二、世界経済恐慌の襲撃からも、……しだいにかの女の吹鳴らすラッパの音韻の沈衰して行くままに。
— 吉行エイスケ 『戦争のファンタジイ』 青空文庫
この四五年、自分の作的境地に自信を失ひ、懷疑否定的氣分に陷るとともに創作力はまるで沈衰してゐる。
— 南部修太郎 『自分のこと』 青空文庫
自負心は惰気を生じ、虚栄を夢み、沈衰となり、退歩となる。
— 押川春浪 『警戒すべき日本』 青空文庫
季の循環、月の盈虚、時の終始は、一定のリズムをなして、一切の生物に加被して居る以上、生物もまた一定のリズムをなして或時は發揚し、或時は沈衰し、或時は睡り、或時は覺めて居るのである。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
季節の循環・月の満ち欠け・時の終始が一定のリズムで一切の生物に影響している以上、生物もまた一定のリズムで或る時は発揚し或る時は沈衰し或る時は眠り、或る時は覚めているのである。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
あんまり神経がいらだつので飲んだ、そして飲みすぎた、当面の興奮はおさまつたが、沈衰がやつてきた、当分また苦しみ悩む外ない。
— 種田山頭火 『行乞記』 青空文庫
斯界の、萎靡沈衰は作家各自より、新人諸君に於いてもっとも甚だしいとする。
— 終刊の辞に代えて 『獅子は死せるに非ず』 青空文庫
我れ人ともにアッというようなものを僕は見たいんだ」 芝居と見世物という二つの道楽――しかも十年もかよいつめてやっと渇望をみたしたのに、その楽しみが無くなってからというものは、彼は精神的にも肉体的にもひどく沈衰してしまって、そののち数カ月間、滅多に外出もしないようになった。
— モーリス・ルヴェル 『或る精神異常者』 青空文庫