藁火
わらび
名詞
標準
文例 · 用例
妻は台所の土間に藁火を焚いて、裸体の死児をあたためようとしている。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
妻は自分を見るや泣き声を絞って、何だってもう浮いていたんですものどうしてえいやらわからないけれど、隣の人が藁火であたためなければっていうもんですから、これで生き返るでしょうか……。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
その鰹の肉片が片側藁火に焙られて、不透明な焼肉の色から急速に生身の石竹色に暈けてゐるのをまじ/\と見詰めながら、桑子は師匠に云つた。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫
妻は臺所の土間に藁火を焚いて、裸體の死兒を温ためようとしてゐる。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
妻は自分を見るや泣聲を絞つて、何だつてもう浮いてゐたんですもの、どうしてえいやら判らないけれど、隣の人が藁火で暖めなければつて云ふもんですから、これで生き返へるでせうか………………。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
藁火焚きなどして介抱しぬれど、少女は蘇らず。
— 森鴎外 『うたかたの記』 青空文庫
お照の死体は池のまん中に浮かんでいたというのであるが、私たちの出張したときには、もう岸の上に引揚げられて、しょせん無駄とは知りながら藁火などで温められていた。
— 岡本綺堂 『鴛鴦鏡』 青空文庫
――それもこれも今は纔かに、老人達の追憶談に残つて、村は年毎に、宛然藁火の消えてゆく様に衰へた。
— 石川啄木 『赤痢』 青空文庫