岸沿い
きしぞい
名詞
標準
文例 · 用例
赤い松原 海岸沿いの国有防風林の松原の中に、托鉢坊主とチョンガレ夫婦とが、向い合わせの蒲鉾小舎を作って住んでいた。
— 夢野久作 『いなか、の、じけん』 青空文庫
崖の上は大抵一面に枯れ果てた萱山で、海岸沿いに電信柱が一列遠く連っているのが見ゆる。
— 若山牧水 『みなかみ紀行』 青空文庫
左岸沿いの良い路を気楽に歩くと兎洞の出合弁天島である(九・一〇)。
— 松濤明 『春の遠山入り』 青空文庫
一九 こちらは、広海屋いろは庫の、どん尻の、河岸沿いの一棟の二階に投げ上げられた、長崎屋三郎兵衛――「これ、若い衆、約束の、酒は持って来ぬか?
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
佐瀬の宅は築地橋に近い河岸沿いの宅で、通されたのは西洋館の広々とした応接室、飾のついた電燈が皎々と、四辺の贅沢な調度品を照らして居た。
— 甲賀三郎 『真珠塔の秘密』 青空文庫
(自注5)大建造物――野原の海岸沿いの畑地を広大につぶして、海軍工廠が建設された。
— 一九三八年(昭和十三年) 『獄中への手紙』 青空文庫
あの時分は、わたしにその要求がめざめていても、いろいろの潮加減で、水脈はとかく岸沿いにゆきやすく、執筆という櫂だけの力では、そこを横に切ることが容易でありませんでした。
— 一九四四年(昭和十九年) 『獄中への手紙』 青空文庫
岸沿いに、岸の灯にひきよせられたり、そうかと思うと濤に押しのけられたりしていないで、水の深い沖を自分のコースに従って堂々進行する船になりたいって。
— 宮本百合子 『風知草』 青空文庫