赤褐
せきかつ
名詞
標準
文例 · 用例
冬の間頑固にかじり附いて枝を離れず、吹雪にもざわ/\と淋しい音を立てる赤褐色なその廣葉も、小さな嫩芽の追ひ立てを喰つては一たまりもないのだ。
— 有島武郎 『春』 青空文庫
すゝきの花の向ひ火や、きらめく赤褐の樹立のなかに、鹿が無心に遊んでゐます。
— 宮沢賢治 『『注文の多い料理店』広告文』 青空文庫
すすきの花の向い火や、きらめく赤褐の樹立のなかに、鹿が無心に遊んでいます。
— 宮沢賢治 『『注文の多い料理店』新刊案内』 青空文庫
さるにても、山川の美しさは、春や秋のは言わばデパートメントの売り出しの陳列棚にもたとえつべく、今や晩冬の雪ようやく解けて、黄紫赤褐にいぶしをかけし天然の肌の美しさは、かえって王宮のゴブランにまさる。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫
そうして、従来見た火山の噴煙と比べて著しい特徴と思われたのは噴煙の色がただの黒灰色でなくて、その上にかなり顕著なたとえば煉瓦の色のような赤褐色を帯びていることであった。
— 寺田寅彦 『小爆発二件』 青空文庫
しかし背なかは水に濡れてゐるやうで、その赤褐色はかなりあざやかだつた。
— 島木健作 『赤蛙』 青空文庫
私は赤蛙をはじめて見つけた時、その背なかの赤褐色が、濡れたやうに光つてゐたことを思ひだした。
— 島木健作 『赤蛙』 青空文庫
まさしく瑠璃の、群青の深潭を擁して、赤褐色の奇巌の群々がくわつと反射したところで、しんしんと沁み入る蝉の声がする。
— 北原白秋 『日本ライン』 青空文庫