禁断の木の実
きんだんのこのみ
表現名詞
標準
forbidden fruit
文例 · 用例
親戚の家にあった為永春水の「春色梅暦春告鳥」という危険な書物の一部を、禁断の木の実のごとく人知れず味わったこともあった。
— 寺田寅彦 『科学と文学』 青空文庫
葉子は禁断の木の実を始めてくいかいだ原人のような渇欲をわれにもなくあおりたてて、事務長の心の裏をひっくり返して縫い目を見窮めようとばかりしていた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
大人は禁断の木の実を食ったんだから、どうとも勝手にするがいい。
— 上 『カラマゾフの兄弟』 青空文庫
おそらくいかなる男性としても与えることのできぬものを、この犬は与えるでしょうから一度禁断の木の実を味わわされた婦人は阿片吸飲の患者と同じ状態になりましょう。
— 橘外男 『陰獣トリステサ』 青空文庫
その木曾義仲ほどではなくても、いま、関東方の将士にしてみれば、その野性と飢えたる目に、この混乱の都は、禁断の木の実や花が、採るにまかせてあるように香っていて堪るまい。
— 帝獄帖 『私本太平記』 青空文庫