父譲り
ちちゆずり
名詞
標準
文例 · 用例
長屋のものには判読しがたい変った書体で、それは父譲り、裁縫は、絹物は上手といえなかったが、之は母親譲り、月謝一円の界隈の娘たち相手には、どうなりこうなり間に合い、勿論近所の仕立物も引きうけた。
— 織田作之助 『雨』 青空文庫
櫂に仕込んだ父譲りの貞宗、これで九十郎めの首打ち落とし……」 こういって範之丞は櫂を叩いた。
— 国枝史郎 『血煙天明陣』 青空文庫
彼らは伸子が、祖父譲りで使っている樫の机の両端をかいて、庭づたいに、客間の横手へ運んだ。
— 宮本百合子 『伸子』 青空文庫
内膳正は、父譲りと言ふべきものである。
— 折口信夫 『市村羽左衛門論』 青空文庫
一つは父譲りの古い銀側時計で、いま一つは妹から別れの時に記念として贈られた、何やら赤い石の三つ入った小さな金指輪である。
— フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー 『罪と罰』 青空文庫
麻縄一すじ、輪にして持ち、腰には燧打道具、父譲りの伝来の刀、身軽に装って、「じゃあ母上、お供して参ります。
— 第三分冊 『新書太閤記』 青空文庫