蹴立
蹴立
名詞
標準
文例 · 用例
あなたに遙か遠く山脈の連なるところ、煙の如く砂塵を蹴立てて來る軍馬の一隊は、これぞ即ち普魯西の援軍にして、ブリツヘル將軍の率ゐるものでございます。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
忽ち私の傍を近々と横ぎつて、左右に雪の白泡を、ざつと蹴立てて、恰も水雷艇の荒浪を切るが如く猛然として進みます。
— 泉鏡花 『雪靈續記』 青空文庫
たちまち私の傍を近々と横ぎって、左右に雪の白泡を、ざっと蹴立てて、あたかも水雷艇の荒浪を切るがごとく猛然として進みます。
— 泉鏡花 『雪霊続記』 青空文庫
』と睨みつけて廊下を蹴立てゝ出た――帳場に多人数寄合つて、草鞋穿の巡査が一人、框に腰を掛けて居たが、矢張此の事に就いてらしい。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
両方の舟が荒波蹴立てて急ぐ。
— 山中貞雄 『武蔵旅日記』 青空文庫
そのあと池上は、続いて喚きたいような力を無理に堪えるものゝように、べそを掻いて歪んだ時のような顔を急にうつ向かすと、ふら/\と立って縁側を蹴立てゝむこうの座敷へ行ってしまいました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
加奈子はショールの下に隠していた提げ菓子皿を持上げて、振って円タクのみんなに「いらない」合図をする、四台の車の窓から四つの鋭い眼が引込んで道路は再び無慈悲な爆音に蹴立てられる。
— 岡本かの子 『豆腐買い』 青空文庫
見る/\内に波を蹴立てゝ、蒼渺の彼方に消え去た。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫