曲馬師
きょくばし
名詞
標準
circus stunt rider
文例 · 用例
あれはこの動物にとっては全く飼主の曲馬師から褒美の鮮魚一尾を貰うための労役に過ぎないであろうが、娯楽のために入場券を買ってはいった観客の眼には立派な一つの球技として観賞されるであろう。
— 寺田寅彦 『ゴルフ随行記』 青空文庫
西洋人の曲馬師らしいのが居てそれが先ずセロを弾く、それから妙な懸稲のようにかけ渡した麻糸を操るとそれがライオンのように見えて来る。
— 寺田寅彦 『夢判断』 青空文庫
第五回 「ピアノ」と拳鬪船中の音樂會――鵞鳥聲の婦人――春枝夫人の名譽――甲板の競走――相撲――私の大閉口――曲馬師の虎 翌朝、銅鑼の鳴る音に驚き目醒めたのは八|時三十|分で、海上の旭光は舷窓を透して鮮明に室内を照して居つた。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
それは興行のためにと香港へ赴かんとて、此船に乘組んで居つた伊太利の曲馬師の虎が檻を破つて飛び出した事で、船中鼎の沸くが如く、怒る水夫、叫ぶ支那人、目を暈す婦人もあるといふ騷ぎで、弦月丸出港のみぎりに檣燈の微塵に碎けたのを見て『南無阿彌陀佛、此船には魔が魅つて居るぜ。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
鼠のずぼんの裾が見え、樺色の靴を穿き、同一色の皮手袋、洋杖を軽くつき、両個の狼を前にしつつ、自若たるその風采、あたかも曲馬師の猛獣に対するごとく綽々として余裕あり。
— 泉鏡花 『わか紫』 青空文庫
はやも見よ、暮れはてし吊橋のすそ、瓦斯点る……いぎたなき馬の吐息や、騒ぎやみし曲馬師の楽屋なる幕の青みをほのかにも掲げつつ、水の面見る女の瞳。
— 北原白秋 『邪宗門』 青空文庫
宿場を出脱れようとすると、先の悪戯餓鬼は曲馬師のやうに巧みに向きを変へて、元の通り路に引き返すと、ゼーロンも飽くまで後を追ひ、前脚をあげて、挑みかゝらうとするのであつた。
— 「吾が昆虫採集記」の一節 『夜見の巻』 青空文庫
そして私は、徳子がアメリカの田舍を曲馬師のサアカスに加はつて俗受けの鄙唄を歌つて踊つた時代をこそ見たいと思ひました。
— 竹久夢二 『砂がき』 青空文庫