寝せる
ねせる
動詞
標準
文例 · 用例
樹明は泥酔して行方不明になつてしまつた、私は酔へないで戻つて寝た、ふと眼がさめて、そこに酔樹明を見出した、彼がこゝへ倒れ込んだのは、まづ/\感心、すぐ寝せる、大蛇のやうな鼾声をあげて眠つた、私もいつしか睡つた。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
お前たちまちどこへ寝せるつもりや。
— 横光利一 『南北』 青空文庫
それより、お前どこで寝せるぞ、奥の間か?
— 横光利一 『南北』 青空文庫
「子供を寝せるのなら、うちへ伴れてつて呉れないかな。
— 牧野信一 『二日間のこと』 青空文庫
ところが七月七日の午前一時頃痰が赤くなりはじめ、就寝せるも睡りやらず、しきりに痰出でて目がさめ、そのうちに午前四時頃喀血す。
— 海野十三 『海野十三敗戦日記』 青空文庫
さてその灯籠というは、形を都鳥の水に浮寝せる姿とし、これに灯を入れて流れの上より下へ行くにまかせて放ちやるにて、岸の遠近、船よりも楼よりも眺めはいずれ趣深く、遠く遠く流れゆく灯影の小さくなるを送るほどの心、情景ともにかのうて忘機の三昧に入るを得べし。
— 柴田流星 『残されたる江戸』 青空文庫
沖つ波来寄る荒巌を しきたへの枕とまきて、寝せる君かも(二二二、柿本人麻呂)沖の方の波が来寄せる所の、岸の荒い岩石を、枕の如く枕して、寝ていらつしやるあなたよ。
— ――たまの問題―― 『万葉集に現れた古代信仰』 青空文庫
信子をだきかゝへて、仰向けに寝せるために、その全力をだしつくさねばならなかつた。
— 坂口安吾 『恋をしに行く(「女体」につゞく)』 青空文庫