艶消し
つやけし
名詞
標準
文例 · 用例
艶消しの珠玉のような、なまめかしい崇高美に、私は一眼で魅了されて仕舞った。
— 岡本かの子 『鶴は病みき』 青空文庫
酒をやめてから容貌も温厚となり、あの青年時代のきらびやかな美しさは艶消しとなった代りに、今では中年の威がついて、髪には一筋二筋の白髪も光りはじめて来ている。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫
だからこの娘とも常不断そう言ッてます事サ、アノー本田さんは何だと、内の文三や何かとは違ッてまだ若くッてお出でなさるけれども、利口で気働らきが有ッて、如才が無くッて……」「談話も艶消しにして貰たいネ」「艶じゃア無い、真個にサ。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
ねえ田郷さん、円廊の扉際には、外面|艶消しの硝子で平面の弁と凸面の弁を交互にして作った、六弁形の壁灯がありましたっけね。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
自動車の中あたりでもどそうとでもしたならそれこそ艶消しであった。
— 田中貢太郎 『文妖伝』 青空文庫
」 と恭順は言いながら、黒く塗った艶消しの色も好ましい大きな文箱を奥座敷の小襖から取り出して来た。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
お前だって女子衆の前でお繩頂戴も気のきかねえ艶消しだろう。
— 怪談抜地獄 『釘抜藤吉捕物覚書』 青空文庫
暗い暗い、気味悪く冷たい、吐く気息も切ない、混沌迷瞑、漠として極むべからざる雰囲気の中において、あるとき、ある処に、光明を包んだ、艶消しの黄金色の紅が湧然として輝いた。
— 倉田百三 『愛と認識との出発』 青空文庫