緇
し
名詞
標準
文例 · 用例
擬古の詩、もとより直に抒情の作とす可からずと雖も、此是れ緇を披て香を焚く仏門の人の吟ならんや。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
匡房の続往生伝の叙に、寛和年中、著作郎慶保胤、往生伝を作りて世に伝う、とあるに拠れば、保胤が往生伝を撰したのは、正しく保胤が脱白|被緇の前年、五十一二歳頃、彼の六条の池亭に在った時ででもあったろう。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
吾子が受領すべきは、緇き衣と大なる帽となり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
茶山の此冬の作に、「蜀山人移家于学宮対岸、扁曰緇林、命余詩之」とした七絶がある。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
同じく舟を椋湖に泛べた緇素とは誰々か。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
その折明恵は質素な緇衣の下に、婦人の着さうな、緋の勝つた派手な下着を被てゐるので、解脱はそれが気になつて溜らなかつた。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
緋衣、紅裙、青衣、白衣、緇衣、黄巾、青踏、赤前垂れ、白湯文字等、服粧で職業や階級を呼ぶ事多く、明治十年前後和歌山に奧縞ちう淫賣女が多かつた。
— 並にサンヤレの事 『女順禮』 青空文庫
緇素月見樒つみ鷹すゑ道をかへゆけど見るは一つの野路の月影 この歌は『古今』よりも劣りたる調子なり。
— 正岡子規 『曙覧の歌』 青空文庫