険怪
けんかい
名詞
標準
文例 · 用例
その気に染まる人また立所に命を殞さざるなし、道南鼠死行一篇を賦し、奇険怪偉、集中の冠たり、数日ならざるに道南またすなわち怪鼠病で死んだも奇だとある。
— 鼠に関する民俗と信念 『十二支考』 青空文庫
(四十年十一月) 伯爵 板垣退助 板垣退助 世に伝ふ、板垣伯は両面ある人物なり外は直情径行なるに似て内は反つて険怪隠密常に赤誠を口にして善く慷慨すれども、身を処するに巧詐あり世を行くに曲折あり、圭角ある如くにして圭角なく、平板なる如くにして表裏あり然れども余の彼れに見る所は別に是れあり。
— 鳥谷部春汀 『明治人物月旦(抄)』 青空文庫
入川谷の幽邃と険怪、東沢、西沢の壮大と瑰美、共に秩父の沢の中では第一に位するものである。
— 木暮理太郎 『奥秩父の山旅日記』 青空文庫
中廊下には黒ビンカ或は段々ベツリなど呼ばれる岩壁があり、奥廊下にも薬師岳の下に幾つかの岩壁はあるが、孰れも規模が稍小さいので、下廊下のような険怪と豪宕とを欠いている。
— 木暮理太郎 『黒部峡谷』 青空文庫
下廊下の険怪を見た眼には気に懸る程でもない。
— 木暮理太郎 『黒部峡谷』 青空文庫
長さ二十里に余るこの大峡谷は、実に豪宕と偉麗とを合せ有し、加うるに他に容易に見ることを得ない幽峭と険怪とに満ちている。
— 木暮理太郎 『渓三題』 青空文庫
黒部峡谷の険怪と豪宕とは、上は内蔵之助谷から下は仙人谷に至る約二里の間に極度に発揮されている。
— 木暮理太郎 『渓三題』 青空文庫
殊にはカアライル、エマルソンが如く文章險怪なるものは所詮鴎外の假借せざるところとなりしならむといふ。
— 森鴎外 『柵草紙の山房論文』 青空文庫