幻辞.com

病母

びょうぼ
名詞
1
標準
文例 · 用例
然るに同じ女子の同じ寂寥の路を行くにも、若し其の女子が病母の危急に際して醫を聘せんが爲に、孝思甚だ深き餘り、たゞ速かに母の苦を救はんとするの念慮熾んにして走り、路次の寂寥をも意とする無くして行くとすれば、其のごとき場合を指して『氣が張つた』と人は言ふのである。
幸田露伴 努力論 青空文庫
であるが、同じ女子が同じもの寂しい路を行くにも、若しその女子が病母の危急に際して医者を招く為に、病母を思う心が深く、速やかに母の苦を救おうとの念が壮んで走り、夜道の寂しさも構わずに行くとすると、そのような場合を指して「気が張った」と人は言うのである。
幸田露伴 努力論(現代訳) 青空文庫
尊貴な御身は御病母のもとにも長くはおとどまりになることができずに間もなくお帰りになるのであった。
薄雲 源氏物語 青空文庫
「姉さん……姉さん、田雀を拵えてくっだい、姉さんてば」 お小夜は国吉に呼立てられ、はっとして病母のことに思いかえった。
伊藤左千夫 新万葉物語 青空文庫
病母も火の端へ連れ出して四人が心持よく食事をした。
伊藤左千夫 新万葉物語 青空文庫
祖母も病母も小鳥がうまいうまいと悦んだので、国吉はおれがおれがと得意にぶっちめの話をする。
伊藤左千夫 新万葉物語 青空文庫
「この分ならば明日は起きていられるだろう」という、病母の話声にも力があった。
伊藤左千夫 新万葉物語 青空文庫
お小夜は父が今にも帰るだろうと思うから、炬燵の側へ祖母と国吉の寝床を敷いてやり、病母には猫火鉢へ火を入れて、いつでも寝られるようにしてやる。
伊藤左千夫 新万葉物語 青空文庫