懸金
懸金
名詞
標準
文例 · 用例
これを見、彼を聞きたりし、伝内は何とかしけむ、つと身を起して土間に下立ち、ハヤ懸金に手を懸けつ。
— 泉鏡花 『琵琶伝』 青空文庫
東南の端の座敷に院はおいでになって、隣室の尚侍のいる所との間の襖子には懸金がしてあった。
— 若菜(上) 『源氏物語』 青空文庫
またいわく小屋に小馬を入れ戸を闔して内に横を抜き嘶くと、近所の驢が来て鼻で懸金を揚げ小馬と二匹伴れて遊びに往った体、まるで花魁と遊客の懸落のようだったと。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
まず懸金を揚げて門を開け出で、身を旋し尻で推してこれを閉じ、納屋に到って戸の※を抜くと戸自ずから開くのだ。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
それよりかその懸金で何か買った方がいいわ。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
「私よ、私よ、……おう寒い、寒いから早う開けておくれ」 総領女は起きて入口の方へ往ったが、どうも其の詞の調子が母と違っているように思われるので、戸の懸金を放しかけてまた聞いた。
— 田中貢太郎 『白い花赤い茎』 青空文庫
藤枝は門の懸金をかけ、飛びだしたままで開け放してあった玄関の障子を締めて、刀を脱りながら次の室へ往った。
— 田中貢太郎 『女賊記』 青空文庫
瓦斯の火が済むと、マッチの箱を懐へ入れて、入口へ往って障子を開け、それから懸金になった錠前に指をかけた。
— 田中貢太郎 『黄燈』 青空文庫