貰い泣き
もらいなき
名詞
標準
文例 · 用例
かれは貰い泣きの眼を拭きながら云った。
— 奥女中 『半七捕物帳』 青空文庫
「お君さんは運が悪うおますな」 と、慰め顔の長屋の女たちにも、「しかたおまへん」 と、笑ってみせ、相つづく不幸もどこ吹いた風かといった顔だったから、愚痴の一つも聞いてやり、貰い泣きの一つぐらいはさしてもらいましょと期待した長屋の女たちは、何か物足らなかった。
— 織田作之助 『雨』 青空文庫
お君さんは運命が悪うおますなと慰め顔の長屋の女たちにも、仕方おまへん、そんな不幸もどこ吹いた風かと笑ってみせ、例の死んだ人たちの想い出話そしてこみあげて来るすゝり泣きを期待し、貰い泣きの一つもしようと思った長屋の女たちには、むしろ物足り無くみえるお君であった。
— 織田作之助 『雨』 青空文庫
軽部の死、金助の死と相つづく不幸もどこ吹いた風かといった顔だったから、愚痴の一つも聞いてやり、貰い泣きもさして貰いまひょと期待した長屋の女たちは、何か物足らなかった。
— 織田作之助 『青春の逆説』 青空文庫
お銀も貰い泣きをしながら、子供に涎掛けを出してくれなどした。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫
自分も一緒に貰い泣きをしたものの、今夜別れたらもういつ逢われるか知れない男を、無事に見送って帰してやった夕雛の仕方が歯がゆいように思われてならなかった。
— 岡本綺堂 『箕輪心中』 青空文庫
こういうことに貰い泣きをするような特殊の観客にも、あんまり長たらしいと呟かれた。
— 岡本綺堂 『明治劇談 ランプの下にて』 青空文庫
だからタッタ一人の血のキレとして残っている娘にアトを継がせたいために迎えに来たと二人の代表が説明すると、彼女は娘と手を執り合って泣き出したので、二人の代表が覚悟の前ながら相当貰い泣きさせられた。
— 夢野久作 『近世快人伝』 青空文庫