雑樹
ざつじゅ
名詞
標準
文例 · 用例
青き旗、白き旗、二、三本その前に立ちて、うしろはただちに山の裾なる雑樹斜めに生ひて、社の上を蔽ひたる、その下のをぐらき処、孔の如き空地なるをソとめくばせしき。
— 泉鏡花 『竜潭譚』 青空文庫
」「そうさ、よく路傍の草の中に、揃えて駒下駄が脱いであったり、上の雑樹の枝に蝙蝠傘がぶら下っていたり、鉄道で死ぬものは、大概あの坂から摺込むってね。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
爾時、これから参ろうとする、前途の石段の真下の処へ、殆ど路の幅一杯に、両側から押被さった雑樹の中から、真向にぬっと、大な馬の顔がむくむくと湧いて出た。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
鼓ヶ嶽の裾にある、雑樹林の中へ来い。
— 泉鏡花 『歌行燈』 青空文庫
あの広場の雑樹へ下って、夜が明けて、やッと小止になった風に、ふらふらとまだ動いていたとさ。
— 泉鏡花 『歌行燈』 青空文庫
路には処々、葉の落ちた雑樹が、乏しい粗朶のごとく疎に散らかって見えた。
— 泉鏡花 『海の使者』 青空文庫
だから、日向で汗ばむくらいだと言った処で、雑樹一株隔てた中には、草の枯れたのに、日が映すかと見れば、何、瑠璃色に小さく凝った竜胆が、日中も冷い白い霜を噛んでいます。
— 泉鏡花 『唄立山心中一曲』 青空文庫
大分日焼けのした顔色で、帽子を被らず、手拭を畳んで頭に載せ、半開きの白扇を額に翳した……一方雑樹交りに干潟のような広々とした畑がある。
— 泉鏡花 『白金之絵図』 青空文庫