擦り付く
こすりつく
動詞
標準
文例 · 用例
鉛も金をこすり合えば多少金がこすり付く道理です。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
海老責は罪人を赤裸にして、先ず両手をうしろに縛りあげ、からだを前にかがめさせて、その両足を組みあわせて厳しく引っ縛り、更にその両足を頤にこすり付くまでに引きあげて、肩から背にかけて縛りつけるのであるから、彼は文字通りに海老のような形になって、押潰されたように平た張り伏しているのである。
— 岡本綺堂 『拷問の話』 青空文庫
一八の屋根に鶏鳴きて雨を帯びたる風山田に青く、車中には御殿場より乗りし爺が提げたる鈴虫なくなど、海抜幾百尺の静かさ淋しささま/″\に嬉しく、哀れを止むる馬士歌の箱根八里も山を貫き渓をかける汽車なれば関守の前に額地にすりつくる面倒もなければ煙草一服の間に山北につく。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫
夏の日なかのにくしみに、泣かぬ君ゆゑその唇に青く、黄の粉の恐ろしきにくらしき翅をすりつくる。
— 北原白秋 『思ひ出 抒情小曲集』 青空文庫
寐るには右向よりも左向を可とすれど、左向になりては頭を蒲団の上にすりつくるやうにして寐るのみにて、半ば体を起して仕事などする事出来ず。
— 正岡子規 『明治卅三年十月十五日記事』 青空文庫
裃の肘を平八文字に張って、忠相のひたいが畳にすりつく。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
」 つや子は体ごとすりつくようにして、伸子の手をひっぱった。
— 宮本百合子 『道標』 青空文庫
若々しいのぶ子の傍にすりつくように腰をかけ、濃鼠色の襟巻から、上気せた顔をのぞかせ、彼女は、どこを通っているのか考えても見ない風であった。
— 宮本百合子 『黄昏』 青空文庫