恨
はん
名詞
標準
文例 · 用例
天性陰気なこの人は、人の目にたつほど、愚痴も悔やみもいわなかったものの、内心にはじつに長いあいだの、苦悶と悔恨とをつづけてきたのである。
— 伊藤左千夫 『老獣医』 青空文庫
ものに屈託するなどいうことはとんと知らなかった糟谷も、にわかに悔恨の念禁じがたく、しばしば寝られない夜もあった。
— 伊藤左千夫 『老獣医』 青空文庫
予に金を貸した一人の如きは、君がそれほど勉強して失敗したら、縦令君に損を掛けられても恨はないとまで云うた。
— 伊藤左千夫 『家庭小言』 青空文庫
その悔恨はひしひし胸にこたえて、深いため息をするほかはない。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
沈黙した三人はしばらく恨めしき池を見やって立ってた。
— 伊藤左千夫 『奈々子』 青空文庫
お母さんはただただ御自分の悪い様にばかりとっているけれど、お母さんとて精神はただ民子のため政夫のためと一筋に思ってくれた事ですから、よしそれが思う様にならなかったとて、民子や私等が何とてお母さんを恨みましょう。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
お母さんの精神はどこまでも情心でしたものを、民子も決して恨んではいやしまい。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
家の母などもただそればかり言って嘆いて居ますが、それも皆悪気があっての業でないのですから、私は勿論民さんだって決して恨みに思やしません。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫