菰張り
こもはり
名詞
標準
文例 · 用例
今の夕立が往来の人を追っ払ってしまったらしく、ぐしょ濡れになった菰張りの小屋の前には一人も立っている者はなかった。
— お照の父 『半七捕物帳』 青空文庫
遥か彼方の境内の外れに、菰張りの掛け小屋が立っていた。
— 国枝史郎 『八ヶ嶽の魔神』 青空文庫
竹のさきに蝋燭を立てたのが、小石のあいだにさしてあって、ボンヤリ菰張りの小屋を照らしている。
— こけ猿の巻 『丹下左膳』 青空文庫
そうしてそういう草の空地には、おでん燗酒の屋台店だの、天幕張りや菰張りの食物店などが群れをなして建っていたり、ポツポツと離れて建っていたりした。
— 国枝史郎 『娘煙術師』 青空文庫
一ツ目橋のほうへやや近く、家のない空地がひらけていたが、そこに比較的に明るい燈火が、四方菰張りの小屋の隙を通して、幾筋となく漏れ出て見えたが、それは賭博小屋の火の光であった。
— 国枝史郎 『娘煙術師』 青空文庫
これは後日のことであるが、大津の駅路にお妻太夫の、小屋掛けの見世物がかかった時、その菰張りの楽屋の中に、君江とその子の竹太郎とが、一座の人たちに可愛がられながら無邪気に平和に暮らしていて、鴫丸がいつも竹太郎を、膝の上へ乗せてあやしたり、背に負ってあやしていたそうである。
— 国枝史郎 『娘煙術師』 青空文庫
幸いに見物の中に気の利いたのは、菰張りや板囲いを切りほどいて女子供をそこから逃がしたから、怪我人は大分あったけれども、見物から死人は出さないで一通りは逃がしたけれど、かわいそうに軽業をする美人連は、逃げ場を失うて、櫓の高みや軽業の台の上にかたまって、高みから泣き声をあげていました。
— 女子と小人の巻 『大菩薩峠』 青空文庫