現示
げんじ
名詞
標準
文例 · 用例
読者よ、これ実に我等の生活の最も意義ある現示、この世の隠れたる源の泉より湧き出づる奥秘の声なるぞかし。
— 石川啄木 『閑天地』 青空文庫
かくて凡てが漸次に高次の規則や法則に従属させられて行くのであるが、それらの規則や法則は言葉や仮説を通じて悟性に開示されるのでなく、いはば現象を通じて直観に現示されるのである。
— 三木清 『ゲーテに於ける自然と歴史』 青空文庫
然るに世にすねたる阿呆は痛く文学者を斥罵すれども是れ中々に識見の狭陋を現示せし世迷言たるに過ぎず。
— 三文字屋金平 『為文学者経』 青空文庫
二人を死体室へ運びこんでおいて担架隊はまだ続いている演習に参加するために、状況現示班員が赤旗や発煙筒をもってうろつく病棟へ帰っていった。
— 永井隆 『ロザリオの鎖』 青空文庫
この三者の連合力は甲丙最も強く、甲乙これに次ぎ、甲丁最も弱きをもって、甲を想すれば丙最も速やかにこれに伴って想起し、丁は容易に想起すべからざるも、もし甲丙ならびに甲乙の連合が、ある事情によりて、その作用を休止し、あるいはその作用を現示することあたわずとせんか。
— 井上円了 『妖怪学』 青空文庫
幽霊はもと霊魂不滅論にもとづき、純正哲学の問題にして、物理、心理の関係するところにあらざるも、世間のいわゆる幽霊は、物心の間にその形象作用を現示したるものをいうことなれば、その説明もまた物理、心理によらざるべからず。
— 井上円了 『迷信と宗教』 青空文庫
しかしてこの天然の形情を、画に文に詩に音楽に彫刻に現示して人を感動薫化するは、いわゆる天然と人為とを合したる教育なり。
— 井上円了 『欧米各国 政教日記』 青空文庫
されば我等の幻術は現実に於て詩を行い山師神々を放逐し賢ら人を猿となし酒呑めば酒となる真実の人間を現示せんとするものであるわい。
— 聖なる酔っ払いは神々の魔手に誘惑された話 『木枯の酒倉から』 青空文庫