寞々
寞々
名詞
標準
文例 · 用例
彼は積極的に生きようといふ欲望にも燃えず、凡ての事柄に興味を失ひ、只々現實を嫌惡し、空々寞々たる隱者のやうな生活を夢のやうに頭のなかにゑがいて、ぼんやり一日をくらすやうになつた。
— 島木健作 『癩』 青空文庫
彼は積極的に生きようという欲望にも燃えず、すべての事柄に興味を失い、ただただ現実を嫌悪し、空々|寞々たる隠者のような生活を夢のように頭のなかにえがいて、ぼんやり一日をくらすようになった。
— 島木健作 『癩』 青空文庫
」 やがて、女が一言二言何かつぶやきながら、廊下へ出て行くと、パチンと頬を殴る音が続けざまに聞えていたが、やがてまた外は無気味な、汚水のような寞々とした静かさになった。
— 林芙美子 『新版 放浪記』 青空文庫
」 女が、一言二言つぶやきながら、廊下へ出ると、パチンと頬を打つ音が続けざまに聞えて、無意味な、汚水のような寞々とした静かさが続いて、女の乱して行った空気が、仲々しずまらなかった。
— 林芙美子 『放浪記(初出)』 青空文庫
秋の深夜はいつか曇って、寞々とした雲棚引き、東の涯にただ一つ糠星が瞬いているばかり、四方を囲繞く峨々たる山は、闇を凌いで黒く聳え嵐に吹かれて唸りをあげ、山裾を流れる大河の水は岩に遮かれて叫んでいる。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
詩形の標準 新体詩は嘗て一たび秋の芒の如く出でたり、而して今や即ち寂々寞々たり。
— 山路愛山 『詩人論』 青空文庫