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指端

したん
名詞
1
標準
文例 · 用例
指端を弄して低き音の縷のごときを引くことしばし、突然中止して船端より下りた。
国木田独歩 女難 青空文庫
絣の目を、一つ/\指端で丹念に揉むのであつた。
徳田秋聲 余震の一夜 青空文庫
私はそつと手だけを薄團の下から出して、何となく底の方へ/\と絲か何ぞで引かれるやうな感じのする眼を、輕く指端で押さへてみた。
石川啄木 病室より 青空文庫
私はたゞ、恰度眼窩ぐらゐの大きさの、精巧な彫刻を施した、如何にも落着いた美しい光を放つてゐる、冷たい金貨を、交る/\指端に摘み上げて、熱のある眼瞼にぴたりと宛てがつたならば、どんなに氣持が可いだらうと思つたのだつた。
石川啄木 病室より 青空文庫
時の大帝アレキサンドル、この桶中哲人を思慕する事|甚だ深く、一日彼を緑したゝる月桂樹の下蔭に訪ふや、暖かき日光を浴びて桶中に胡坐し、彼は正に其襤褸を取りひろげて半風子を指端に捻りつゝありき。
石川啄木 閑天地 青空文庫
「この薬を飲んで利かなけりゃ、もうしかたがない、皆でいびってから、餌にしましょうよ、ひっ、ひっ、ひっ」 老婆は歯の抜けた歯茎を見せながらコップを持って少年の傍へ往って、隻手の指端をその口の中へさし入れ、軽がると口をすこし開かしてコップの血を注ぎ込んだ。
田中貢太郎 蟇の血 青空文庫
アダム夫妻もと只今の人の指と足の趾の端にある爪の通りの皮を被りいたが、惑わされて禁果を吃うとその皮たちまち堕ち去り丸裸となり、指端の爪を覩て今更楽土の面白さを懐うても追い付かず。
蛇に関する民俗と伝説 十二支考 青空文庫
ゴムの『歴史科学としての民俗学』三十一頁に、インドのカッボア人は、白鶏を牲して隠財を求むといい、コラン・ド・ブランシーの『遺宝霊像評彙』一巻六四頁には、天主教徒白鶏をクリストフ尊者に捧げて、指端の痛みを癒しもらう。
鶏に関する伝説 十二支考 青空文庫