破れ窓
やれまど
名詞
標準
文例 · 用例
火気の満たる室にて頸やいたからん、振あぐる鎚に手首や痛からん」 女は破れ窓の障子を開らきて外面を見わたせば、向ひの軒ばに月のぼりて、此処にさし入る影はいと白く、霜や添ひ来し身内もふるへて、寒気は肌に針さすやうなるを、しばし何事も打わすれたる如く眺め入て、ほと長くつく息、月かげに煙をゑがきぬ。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
女は破れ窓の障子を開きて外面を見わたせば、向ひの軒ばに月のぼりて、此處にさし入る影はいと白く、霜や添ひき來し身内もふるへて、寒氣は肌に針さすやうなるを、しばし何事も打わすれたる如く眺め入りて、ほと長くつく息月かげに煙をゑがきぬ。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
台所の土間からつづく二畳の部屋が食事をする場所だつたが、そこに坐ると、破れ窓を塞ぐためにマツチのレツテルらしい一メートル四方位の紙がぶらさげてある。
— 原民喜 『星のわななき』 青空文庫
五、六軒しかない筏流しを職とする土民の家もみな寝ているうちに、そこの一軒だけが、微かに、破れ窓から灯影を見せている。
— 吉川英治 『篝火の女』 青空文庫
市十郎は、そこの破れ窓から、何気なく首を出した。
— 吉川英治 『大岡越前』 青空文庫
」「されば、舅殿と瓜二つの老いぼれが、民家の破れ窓より、信長が行列を、覗き見しておった。
— 第一分冊 『新書太閤記』 青空文庫
――ほのかにしか明りのとどかぬ破れ窓のそばへ倚って、わざとツンと、軒端のおぼろ月を、頬杖して、見上げながら。
— 第十分冊 『新書太閤記』 青空文庫
途端にウィルキンソン警部が、破れ窓から温室へ戻ってきた。
— The Golden Rose 『黄金薔薇』 青空文庫