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沈め

しずめ
名詞頻度ランク #23295 · 青空 28
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標準
sinking
文例 · 用例
そのマストは黒い、それも煤煙のやうに黒い、――黒い、黒い、黒い……それこそはあの有名な旅順閉塞隊が、沈めた船のマストなのである。
――世の母びと達に捧ぐ―― 一つの境涯 青空文庫
「その時はまだ、閉塞隊の沈めた船のマストが、海の上にのぞいてをつた」と、貧血した母の顔が、遠くの物でも見てゐるやうに、それでもそんな時にはなにか生々と、後年私の生後七ヶ月の頃のことを語つて呉れるたびに、私は何時も決つて右のやうな風景を心に思ひ浮べるのである。
――世の母びと達に捧ぐ―― 一つの境涯 青空文庫
軍艦の場合などでは、それをどうして沈めるか、どうして穴を開けるかを、絶えず研究していることは、誰だって知ってることだ。
葉山嘉樹 労働者の居ない船 青空文庫
さてもお父樣は幾年の前にか失せ給ひし、お前さまの親御樣なれば御年もまだお若かりしならんと問へば、いや若しといふほどにはあらず、別れしは八年の前おもへば夢のやうな別れ成しとあるに、さらば御病氣は俄の病にてやありしと、たゝみかけて問へば、何の病氣かは、我が父はこれこの池に身を沈め給ひしなり。
一葉 暗夜 青空文庫
それに反して、「英雄主義」が、か弱い女性、しかも「苦界」に身を沈めている女性によってまでも呼吸されているところに「いき」の特彩がある。
九鬼周造 「いき」の構造 青空文庫
大波の時には、二三十|尋の底でもひどく揺れるが、少しの波ならば、潜航艇にでも乗って、それくらい沈めば、もう動揺は感じなくなります。
寺田寅彦 夏の小半日 青空文庫
水を張った大桶の底へ小石を沈めておいて、幼い小初に銜え出さしたり、自分の背に小初を負うたまま隅田川の水の深瀬に沈み、そこで小初を放して独りで浮き上らせたり、とにかく、水というものから恐怖を取り去り、親しみを持たせるため家伝を倍加して小初を躾けた。
岡本かの子 渾沌未分 青空文庫
」 妖しい蠱惑のなかに、僕は色欲の錨を沈めてから、粟鼠の毛皮の外套についた無数の獣の顔を愛撫した。
吉行エイスケ 東京ロマンティック恋愛記 青空文庫
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標準
sinker