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引き毟る

ひきむしる
動詞
1
標準
文例 · 用例
」 紀久子は遣る瀬なくなって、自分の心臓を引き毟るような気持ちの中で、さらにそう繰り返した。
佐左木俊郎 恐怖城 青空文庫
「そのお松を殺したお前を、どんな目にあわせて敵を討とうか、俺は三日三晩考えた、なア、お村」「…………」「もう少しの辛抱だ、騒ぐなよ」 立ち上がると、お村を縛った縄を解いて、そのまま逃げ出そうとするのを、膝の下へ引据えて、引き毟るように、帯を解いて、着物を脱がせてしまいました。
人魚の死 銭形平次捕物控 青空文庫
無意識に破れかけのアンペラのはしを、ひきむしる彼の手は、マメだらけで、板のようにかたくなっていた。
黒島傳治 武装せる市街 青空文庫
一人残った男は財布の持主で、梁の下から出た手が握っている財布をひきむしるが、彼もまた二度目に落ちて来た雪崩でやられてしまう。
石川欣一 山を思う 青空文庫
猫が人間の喜びに相当するらしい感情の表現として、前足で足踏みをするのは、食肉獣の祖先がいい獲物を見つけてそれを引きむしる事をやったのとある関係があるのではないかという荒唐な空想が起こる。
寺田寅彦 備忘録 青空文庫
片方の掌をお高の顔いっぱいに当ててうしろへ押しながら、他の手で引きむしるようにその紙を奪いとった。
林不忘 巷説享保図絵 青空文庫
『もっと埃の中でこすれたら血の痕も消えてしまうだろう』しかし、それをはくが早いか、またすぐ嫌悪と恐怖の念に襲われ、引きむしるように脱ぎ捨てた。
フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー 罪と罰 青空文庫
引きむしるやうに棺の白絹を剥ぐと、中から轉げ出したのは、何んと麻裃に威儀を正して、座禪姿になつて居た、藤屋彌太郎の血潮に塗れた姿だつたのです。
生き葬ひ 錢形平次捕物控 青空文庫