縦令
たとい
名詞
標準
文例 · 用例
予に金を貸した一人の如きは、君がそれほど勉強して失敗したら、縦令君に損を掛けられても恨はないとまで云うた。
— 伊藤左千夫 『家庭小言』 青空文庫
家族の者達が身近かにいて、縦令何等の世話を焼いてくれないでも、どの位|捗取ったろうなどゝ考えていてくれるなと思うと、もう私はそれが気懸りで思うように筆を運ばす事が出来なくなるのです。
— "Not till the sun excludes you, do I exclude you; 『●「或る女」巻頭のホイットマンの詩』 青空文庫
貴方は、そうして御経をお読み遊ばすくらい、縦令お山で日が暮れても些ともお気遣な事はございますまいと存じます。
— 泉鏡花 『薬草取』 青空文庫
すると、お嬢さまは、相手が縦令どんなに取るに足らなそうな男でも、そのひたむきな純潔な愛は天地にかけ更えもない優美な貴いものだ――その愛情にほだされない様な女は永遠に真実の愛に祝福される機会を取り逃がす不幸せな女だ、と仰有って、しまいには泪さえ流して、あなたのために弁護なさいました。
— 渡辺温 『アンドロギュノスの裔』 青空文庫
明日の授受が済むまでは、縦令永年見慣れて来た早田でも、事業のうえ、競争者の手先と思わなければならぬという意識が、父の胸にはわだかまっているのだ。
— 有島武郎 『親子』 青空文庫
縦令道徳がそれを自己|耽溺と罵らば罵れ、私は自己に対するこの哀憐の情を失うに忍びない。
— 有島武郎 『惜みなく愛は奪う』 青空文庫
縦令私が純一|無垢の生活を成就しようとも、この存在に属するものの中から何かを捨ててしまわねばならぬとなら、それは私には堪え得ぬまでに淋しいことだ。
— 有島武郎 『惜みなく愛は奪う』 青空文庫
そんなことでは縦令お前がどれ程|齷齪して進んで行こうとも、急流を遡ろうとする下手な泳手のように、無益に藻掻いてしかも一歩も進んではいないのだ。
— 有島武郎 『惜みなく愛は奪う』 青空文庫