厚い壁
あついかべ
表現名詞
標準
hard-to-overcome obstacle
文例 · 用例
が、乳色の、磨硝子の靄を通して灯を見るように、監獄の厚い壁を通して、雑音から街の地理を感得するように、彼の頭の中に、少年が不可解な光を投げた。
— 葉山嘉樹 『乳色の靄』 青空文庫
これは地震や台風や火事に対しては申しぶんのない抵抗力をもっているのであるが、しかし一つ困ることはあの厚い壁が熱の伝導をおそくするためにだいたいにおいて夏の初半は屋内の湿度が高く冬の半分は乾燥がはげしいという結果になる。
— 寺田寅彦 『日本人の自然観』 青空文庫
壊れた厚い壁のかげで、乞食はこそこそやっていた。
— 黒島傳治 『武装せる市街』 青空文庫
村の人達の湯にはまた溪ぎわへ出る拱門型に刳った出口がその厚い壁の横側にあいていて、湯に漬って眺めていると、そのアーチ型の空間を眼の高さにたかまって白い瀬のたぎりが見え、溪ぎわから差し出ている楓の枝が見え、ときには弾丸のように擦過して行く川烏の姿が見えた。
— 梶井基次郎 『温泉』 青空文庫
なおも様子をジッと見ていますと、泥棒はとうとう厚い壁を切り抜いて、もういいと思って小刀の先で突いて見ると、どうでしょう。
— 夢野久作 『雪子さんの泥棒よけ』 青空文庫
着物はまるで厚い壁のくらゐ着込み、馬油を塗つた長靴をはきトランクにまで寒さでひびが入らないやうに馬油を塗つてみんなほう/\してゐました。
— 宮沢賢治 『氷河鼠の毛皮』 青空文庫
慈悲 風琴の鎭魂樂をきくやうに、冥想の厚い壁の影で、靜かに湧きあがつてくる黒い感情。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
それから犯人は先づカロリイナを難なく慘殺し、つづいて小間使のエツバを襲つたが、その必死の叫びも抵抗も非常に厚い壁のためにどこへも聞えず、さうして間もなく主人の老男爵が死の罠へ歩み込んで來たのに相違なかつた。
— ――スウェーデンの殺人鬼―― 『死の接吻』 青空文庫
作例 · 標準
チームは長年のライバルという厚い壁を乗り越え、ついに優勝を果たした。
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新興企業が市場で成功するには、巨大企業の持つ厚い壁をどう崩すかが課題だ。
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誰もが不可能だと諦めていた難問だったが、彼はその厚い壁を独自の視点で打ち破った。
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言葉の壁だけでなく、文化や習慣の違いも、海外での生活における厚い壁となる。
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