ひんやり
ひんやり
副詞
標準
文例 · 用例
苔はまことに、ひんやりいたし、いはうやうなき、今日の麗日。
— 亡き児文也の霊に捧ぐ 『在りし日の歌』 青空文庫
けれども、ひんやり寒い。
— 太宰治 『帰去来』 青空文庫
蒲団が冷いので、背中がほどよくひんやりして、ついうっとりなる。
— 太宰治 『女生徒』 青空文庫
ひんやりした夜氣が急に體にぞくぞく感じられて來た。
— 南部修太郎 『一兵卒と銃』 青空文庫
ひとびとが宵の寝苦しい暑さをそのまま、夢に結んでいるときに、私はひんやりした風を肌に感じている。
— 織田作之助 『秋の暈』 青空文庫
この邊の地は、山に圍まれた高地なので、夏の夜も十一時頃になると、空氣は肌にひんやりとして來た。
— 島木健作 『生活の探求』 青空文庫
当然日本橋から先に探って須田町湯島下と、七つの捨て駕籠を順々に追いながら見調べていくだろうと思われたのに、ひんやりとえり首に冷たい朝風を縫いながら、すいすいとやっていったところは、意外や土橋ご門の方角なのでした。
— 七七の橙 『右門捕物帖』 青空文庫
高崎あたりから、うすぐもりの空となり、熊の平では、かしこの峰、ここの谷に、うす白い霧がまい下りて、ひんやりと浮世ばなれのした風が、窓から出した頬を吹きわたるのだった。
— 菊池寛 『貞操問答』 青空文庫