旧辞
きゅうじ
名詞
標準
文例 · 用例
是より先、天武天皇は、わが国の古伝の保存及び国史の編纂に大御心を注がせられ、天皇おん自ら旧辞を稗田阿礼に勅語したまうたとあるから、さうした御苦心が、古事記となつて実を結んだわけである。
— 菊池寛 『二千六百年史抄』 青空文庫
たとへば、かうしたのりとが下るごとに、蕃国の使は、伝承の旧辞なる寿詞を奏した面影は、あの新羅王の誓詞をもつても明らかである。
— 折口信夫 『高御座』 青空文庫
大日本|日高見の国、国々に伝はるありとある歌諺、又|其旧辞、第一には、中臣の氏の神語り、藤原の家の古物語、多くの語り詞を絶えては考へ継ぐ如く、語り進んでは途切れ勝ちに、呪々しく、くね/\しく、独り語りする語部や、おもやまゝたちの唱へる詞が、今更めて寂しく胸に蘇つて来る。
— ――初稿版―― 『死者の書』 青空文庫
国々に伝はるありとある歌諺、又|其旧辞。
— 折口信夫 『死者の書』 青空文庫
国々に伝わるありとある歌諺、又其|旧辞。
— 折口信夫 『死者の書』 青空文庫
旧辞を討覈して、偽を削して実を定め、後葉に流えんと欲すと見え、『古語拾遺』にも亦た云う、書契以来、古を談ずるを好まず、浮華競与りて、還って旧老を嗤る。
— 高木敏雄 『比較神話学』 青空文庫
稗田阿礼が天朝の命を拝して、歴代の旧辞を語ったのは、果して二者いずれの部に属すべきものかは決しがたいが、少なくとも彼女の家は巫女の家であった。
— 柳田国男 『雪国の春』 青空文庫
主張あり問題の提供ある所もあるが、要するに南島の神話伝説を探り、童謡|俚諺を尋ね、あるいは古音旧辞を究め、歌詞楽舞を伝えて、古史研究に文献学に少からぬ寄与をされた功は特筆せねばなるまいと思う。
— ――伊波文学士の『古琉球』に及ぶ―― 『南嶋を思いて』 青空文庫