疎開地
そかいち
名詞
標準
文例 · 用例
この小説の時期は敗戦翌年の春で、場所は福岡県の片田舎の疎開地、瀕死の病害と幼ない子供を抱へて、日ごと逼迫してゆく「私」の生活はどうみても暗澹としてゐる筈です。
— ――創芸社刊―― 『檀一雄「リツ子・その死」』 青空文庫
あのひとは、まだ疎開地から戻つてはをられませんですよ」 その影の男は、やつと、億くふさうに鍵を開けてくれた。
— 林芙美子 『浮雲』 青空文庫
康子の荷物は息子の学童疎開地へ少し送ったのと、知り合いの田舎へ一箱預けたほかは、まだ大部分順一の家の土蔵にあった。
— 原民喜 『壊滅の序曲』 青空文庫
すると、三次の方の集団疎開地の先生から、父兄の面会日を通知して来た。
— 原民喜 『壊滅の序曲』 青空文庫
康子の荷物は息子の学童疎開地へ少し送つたのと、知り合ひの田舎へ一箱預けたほかは、まだ大部分順一の家の土蔵にあつた。
— 原民喜 『壊滅の序曲』 青空文庫
けさ新聞に、林町と道灌山の間が建物疎開地域になって居ります、そうでしょう、このあたりは入りくんで人が一人やっと通れるような道で抜けていたりしますから。
— 一九四四年(昭和十九年) 『獄中への手紙』 青空文庫
しかし二人きりで気が揃っているので割合楽でしたが、昨夜は壕に土をかけて小学校の前の疎開地へ出かけました。
— 一九四五年(昭和二十年) 『獄中への手紙』 青空文庫
私はこの疎開地でサイパンの悲報を聞きて胸つまり、声が出なくなって、如何にしても常に自信のあったピアニシモが出来なくなって一夜泣き明かしたが、これでは自分自身まで敵にやられたと同じと思って、一生懸命に練習して遂にまたピアニシモの声を美しく出すことが出来て、先ず胸をなでおろした。
— 三浦環 『お蝶夫人』 青空文庫